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【ロールモデル】 田戸 朝美 医学系研究科 保健学専攻 講師

臨床現場に直結した看護研究

tado1.jpg田戸 朝美  Asami TADO

山口大学大学院 医学系研究科
保健学専攻 臨床看護学講座 講師

<略歴>
山口県立大学看護学部卒業後、山口大学医学部附属病院勤務。同大学 医学系研究科保健学専攻博士前期課程修了、現在博士後期課程在籍。2007年に助手として入職。助教を経て、2015年より現職。急性・重症患者看護専門看護師。

<研究内容>
気管挿管患者における口腔ケアの人工呼吸器関連肺炎予防効果と看護ケアへの影響について。予防ケアアプリケーションソフトを開発し、使用された臨床データの収集を行う。

臨床現場での経験から看護研究の重要性を実感
 看護の道を志したのは大学受験のとき。将来、人の役に立つスキルを身に付けたいと考え、当時はまだ珍しかった看護の単科学部がある大学に進学しました。看護は患者の心身の力を引き出し、生活の質を向上することが目的です。大学では看護を受ける人にとってより良いケアとは何なのかを考える基礎力を養いました。
 卒業後は、看護師として本学附属病院の集中治療室(ICU)に勤務し、臨床に携わりながら研究を行いました。心臓血管外科術後の離床の現状と人工呼吸器合併症の発生との関連性の調査など、看護現場での課題に対して客観的なデータを収集・分析し、それに基づいてケアを行うことの重要性を改めて感じました。検証することで看護ケアが変わっていくこと、現場で働く看護師の意識が変わることを痛感しました。

サポートを得ながら生活と仕事を両立
 ICUでの仕事は充実していましたが、夫婦二人の核家族だったため、夜勤の業務が多いICUでは仕事と家庭を両立させるのは難しいなと感じていました。ちょうどその頃、縁あって現在の教授から助手の仕事の話をいただきました。これまでのキャリアを活かせる領域だったので、教育・研究職に就くことを決意しました。
tado2.JPG 研究職に就いて4年後、長男を出産しました。産休と育休を合わせて1年間の育児休業を取得しました。今は家族や保育園のサポートを受けながら生活と仕事をなんとか両立させています。大学の研究補助員制度を活用して、文献の検索や研究準備などを大学院生に手伝ってもらっています。たくさんの人の支援を受けながら研究活動を続けられることをありがたく感じています。私も同じように後輩をサポートしていきたいと思っています。 (右写真:長男がこの春、小学生に。)

tado3.JPG研究成果を広く還元したい
 現在取り組んでいる研究テーマは、集中治療領域における経口挿管患者へ行う口腔ケアの人工呼吸器関連肺炎の予防効果と看護ケアへの影響について。臨床でのデータ収集を行い、有効な予防ケアのエビエンスを確立し、口腔ケアに関する基準を作ろうとしています。これまでの研究成果をまとめるため、博士論文の執筆に取り組んでいるところです。現場に入ると、日々の業務に追われて、看護の本質を立ち止まって考える機会が少なくなってしまいます。しかし、看護研究を行うことで、ケアの根拠やその問題の本質が明らかとなり、それがより良いケアへとつながります。研究の成果は、こうした医療の現場や教育にも反映することができるものと期待しています。
(左写真:研究で使用する口腔ケアの器具)