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【ロールモデル】経済学部経済学科 鍋山 祥子 教授

日常生活に密接につながる社会学の面白さを伝えたい

nabeyama_top.jpg鍋山 祥子 Shoko Nabeyama
 経済学部 経済学科 教授

津田塾大学 学芸学部 国際関係学科 卒業後、株式会社 丸井での勤務を経て、中央大学 人文学研究科 社会学専攻 博士課程 単位取得満期退学。2001年より山口大学経済学部専任講師として従事。助教授、准教授を経て、2011年より教授。「地域福祉社会学」「ジェンダー論」を担当。2012年より男女共同参画室室長。

研究への道のり
 大学卒業後、一般企業に就職し、人事部門を担当しました。新卒採用や社員教育に携わる中、学生の皆さんが就職する前に話ができる仕事がしたいという思いを抱くと同時に、女性が結婚や出産といったライフイベントを経験しながらもキャリアを継続し、社会に貢献し続けるためには、今の社会のしくみや企業の働かせ方を変える必要があると感じていました。一方、大学時代に学んだ社会学への興味もありました。そこで、退職後、大学院で社会学を専攻し、働く中で抱えた疑問に対する社会学的なアプローチを試みました。

 学んでいくうちにアイデンティティーとケアの関連に興味を覚え、「女性の役割」とされている「人をケアすること」がアイデンティティーに与える影響をテーマに研究を進めました。修士論文のテーマは「共依存co-dependencyの社会学的考察」。好きで尽くしているはずなのに、いつの間にか不安に陥ってしまう。相手に尽くすことで自己の存在意義を見出そうとする共依存について考察したことをきっかけに、自分も相手も消耗しないケアの可能性について考えるようになりました。

高齢者介護の問題を明らかにする
 博士課程に進むころ、ちょうど日本の高齢化に注目が集まり始めました。そこで、ケアが必ず必要となる高齢者介護における望ましいケアのあり方を研究テーマにしました。現在は、福祉社会学を専門に、超高齢社会における高齢者介護の在り方、ワーク・ライフ・バランスに焦点を当てた男女の生き方に関する研究を行っています。

今、着目しているテーマは「遠距離介護」です。仕事を持ち、親と遠く離れて暮らす子どもが、何を不安に思い、地域のサービスや福祉資源をどのように活用しているのかといった実態調査をはじめ、遠距離介護と企業のワーク・ライフ・バランス施策との関連性や、地域福祉としての遠距離介護支援の意義の解明などに取り組んでいます。 

これまでは同居介護が主流であり、別居子による老親介護は、あくまで例外と見なされてきました。しかし、独居や夫婦のみの高齢者世帯の増加により別居子による介護も増え、今後は地域福祉サービスとしての遠距離介護支援が必要不可欠です。従来の地域福祉の在り方を問い直し、人材が少ない地方都市において遠距離介護支援を行うことの有用性を検証しています。

世界に先駆けて超高齢社会となった日本では、介護は多くの人が直面する問題です。介護する側もされる側も疲弊しない介護の仕方、男性も女性も仕事を辞めることなく、介護を続けられるような支援や仕組みについて追究していきたいと思っています。

社会学の魅力
 社会学の魅力は、実生活すべてが学問につながっているところです。日常生活のさまざまな出来事が社会とどう関係しているのか、普段感じている疑問や謎を解き明かすことができる学問です。私自身、社会学を学び始めてから、学問をより身近なものとして捉えることができるようになりました。学生の皆さんにも、社会学の面白さ、さまざまな事象が学問につながっている面白さをぜひ体感してほしいと思っています。

自分自身の時間も大切に
nabeyama_kaiga.jpg 私は自分を実験台として育児と仕事の両立を図っています(笑)。さらに、趣味の時間も積極的に作っています。海外研修で一年間暮らしたカナダ・トロントでは、ワーク・ライフ・バランスの考え方が浸透していて、社会人を対象とした趣味の講座がたくさん開かれていました。これなら、働きながら欲張りに生きることができるんだと思い、私も日本ではなかなかできなかった水彩画や書道を習いました。仕事やケアだけでなく、自分のために時間を使う楽しさをそこで味わいました。日本ではなかなか講座には通えませんが、意識して自分の時間を作るようにしています。最近は、編み物をしたり、パンを焼いたりと、ものづくりを楽しんでいます。 写真:トロントでの水彩画教室にて

山口の魅力
 大学時代に東京に住んでいたせいか、山口は一人当たりの専有面積が広く、得をしている感じがします。水も空気もとてもきれいで、住みやすいのが魅力ですね。地域活動や過疎地域対策、まちづくりなど、地域と関わる機会が多いため、自分の研究を地域に還元することもできます。山口でモデルケースを作ることも可能です。山口県の高齢化率は全国第3位に迫っています。研究テーマの一つが高齢者福祉政策なので、山口で研究できるメリットはたくさんあると感じています。      

やりたいことを諦めないで
 これから働き始める若い人たちには、自分の好きなこと、やりたいことを諦めないでほしいですね。もし、やってみて本当に難しければ、そのときに考えればいい。困ったときには、サービスや支援を利用すればいいですし、なければ新たに作ればいい。それを助けてくれる人が必ずいるはずです。術はいくらでもあります。働くことも、仕事と生活を両立させるのも、何も難しいことではなく、当たり前のことだと捉えて、自らの可能性を広げていってほしいと願っています。